スレート材料の歴史:

一般にスレート屋根の屋根材は、現在、住宅屋根用化粧石綿スレートという厚さ2mm程度の石綿や鉱物繊維をセメントで固めた材料を使用しています。石綿;アスベストは2006年に製造、販売が禁止されていますが、まだ多くの屋根で使われています。略してスレート材と言っていますが、元々はセメント材料ではなく、本物の石を使ったものが、スレート屋根に使われていました。石は主に粘板岩であり、薄く割れ平たい形状にできる石で、雲母などがある層で剥離しやすくなっていて、薄く切り剥がすことができる石です。この薄く分離できることを利用して、床材や屋根材としてその耐用年数の長さから以前は良く使われました。英語ではこの粘板岩をスレート(Slate)と言ってスレート屋根とはこの石を使った屋根材のことを言っていました。日本でもこの粘板岩の有名な産地があり、宮城県石巻市の雄勝硯、三重県熊野市の那智黒石、岡山県真庭市の高田硯、山梨県雨畑硯など硯に使う石として産出しています。海外では、石であり超長期の耐久性から屋根や床材料に広く使われていて、その第一の産地は、スペインで世界第一、次いでブラジル、その他には中国、イギリス、ベルギー、ドイツ、フランス、イタリアなどから出ている。

このスレート屋根のスレート材料の名前で粘板岩を駆逐してスレート材料の名前を奪取したのが、アスベストをセメントで固めたセメントのスレート材料です。いろいろな名前で商品化され、カラーベスト、コロニアル、スレート、本式には、JIS規格にもなっている、「薄型化粧石綿スレート」になります。

このアスベストをセメントで固化した商品であるスレートを世に出したのは、カラーベストという商品名で、1937年米国のジョンズ・マンビル社が初めて開発、販売をしました。しかし米国では、いまいち市場が反応せずその当時販売されていた、施工が簡単なアスファルト・シングル材に市場を奪われてしまいます。そしてこのカラーベストは後に製造中止になり、アスベスト問題で、訴訟が多発し、ジョンズ・マンビル社は倒産してしまいます。

しかし、日本ではアスファルトシングルは、防火規制が厳しく普及ませんでした、米国とは真逆の状態でした。そして、1957年に 旧久保田鉄工とマンビル社は、技術提携し、4年後コロニアルという商品名で発売を開始しました。日本では重く施工が大変な瓦、セメント瓦に代わってこのスレート屋根が幅を利かせていきます。屋根業界では、「新生瓦」と呼びかなり普及しましました。昭和51年にJIS規格ができ名称は「住宅屋根用化粧石綿スレート」になっています。日本ではこのスレート材料を使った屋根をスレート屋根などと言っています。

クボタは久保田建材工業株式会社を設立し、スレートの製造・販売を開始します。カラーベスト・シングルは、外壁材、コロニアルという商品名で屋根材を供給、価格、デザイン、機能がお客様に喜ばれ、瓦、セメント瓦に代わる屋根材料として順調に売上が伸びていきました。1960年代の高度成長期の波にのり、住宅の着工数は爆発的普及期になります。スレート屋根は木造住宅には欠かせないものになっていったのです。「カラーベスト」は、米国でのスレート材料の一般名、「コロニアル」は、久保田建材工業株式会社の製品に付けられた商品名になります。

スレート材料の歴史:有害なアスベストの規制:

ところが1970年代に、問題が出てきます。スレート材は石綿;アスベストが含まれています。アスベストは発がん性があることを、国際労働機関が指摘し、米国では1974年工場労働者でガン発生が発見され集団訴訟が多発します。これらの賠償金の支払いで、スレート材料の最大生産会社のジョンズ・マンビル社は倒産。しかし、日本のクボタ。松下電工は、アスベスト入りの製品を製造し続けました。日本ではやっと2006年に全面的にアスベストの製造、販売、輸入が禁止されました。しかしその間アスベストの生産工場では肺気腫、肺がんの工場労働者があいつぎ、日本でも多くのアスベストに関する訴訟が発生しています。そして日本のアスベスト・スレート屋根材料の大手供給会社であった、クボタと松下電工はこのビジネスの減少により合併を余儀なくされ、ケミューという会社を設立しました。スレート屋根、コロニアル屋根、カラーベスト屋根の材料を供給し続けていますが、アスベストに代わる強固な鉱物繊維の開発が遅れています。

アスベスト問題(アスベストもんだい)は、石綿(アスベスト)による塵肺、肺線維症、肺癌、悪性中皮腫(ちゅうひしゅ)などの人体への健康被害問題のことを指す。アスベストは、耐熱性、絶縁性、保温性に優れ、断熱材、絶縁材、ブレーキライニング材などに古くから用いられ、「奇跡の鉱物」と重宝されてきた。しかし、高濃度長期間暴露による健康被害リスクが明らかになったことで、アスベスト含有製品の生産や建設作業(アスベストの吹きつけ)に携わっていた従事作業者の健康被害が問題となり、「静かな時限爆弾」と呼ばれるようになった。日本においては、アスベスト含有製品生産や建設作業に携わっていた作業者の健康被害に対する補償が行われてきたが、2005年にアスベスト含有製品を過去に生産していた工場近辺における住民の健康被害が明らかになったことで、医療費等の支給など救済措置のための法律が制定されることになった。
また、アスベスト製品がほぼ全廃された現在においても、吹きつけアスベスト、アスベストを含む断熱材などが用いられた建設物から、解体時にアスベストが飛散することについても問題とされることがある。

5年、7年の年数で割れ、欠け、ヒビが発生するスレート屋根

2006年にアスベストが禁止され、クボタ、松下電工はアスベストに代わる鉱物繊維の開発に頑張ってきましたが、まだ浅い年数でスレート屋根が割れたり、ヒビ、欠けなどの被害が報告されています。雨漏りの被害に直結する程のものではありませんが、まだ材料的に満足のいくレベルとは言えないのが現状のようです。その証拠に製品の保証では、塗装、塗膜での保証が2年、材料保証では下地材の施工の規則を厳しくして、下地の段差3mm以下という規定を設け施工マニュアルに違反した場合は材料保証が受けられないのが現状になっています。屋根材の保証規定はどのメーカーもありますが、スレート屋根での施工規定は結構厳しい

>>> 写真 スレート屋根
>>> 写真 スレート屋根

ケミュー社自身が公告していますが、スレート屋根の上にスレート材料でのカバー工法では、メーカーの保証が受けられません。スレート屋根にスレート材料を施工する場合は、スレート材、ルーフィング、下地を撤去して新たに下地を施工し、その下地の段差が3mm以内の上に施工しなければなりません。その上でルーフィング、新たなスレート屋根にするためにスレート材を施工しなさいと施工マニュアルにあります。新しい下地材、コンパネも 3mm以内の段差になるように注意深く工事を管理するのです。施工会社にとっては苦労の多い工事で、この規定を守らなければ、材料保証を受けられません。

スレート屋根;スレートのJIS規格

2006年以降に改版されたスレート屋根の為のスレート材料規格は,主な原料として、けい酸質原料,石綿以外の繊維質原料,混和材料、セメントなどを用いて高圧にて整形したものとあります。2006年にアスベストが禁止になった最大の改版点です。アスベストの使用を認めていません。スレート屋根に施工する屋根材の内、スレート材料を規定しています。主として住宅用屋根に用いるもの、野地板;下地材の規定もあり、厚さの規定もあります。この下地板の規定中に厚さ 9mm以上の板、建築用合板などを決めています。野地板の規定はありますが、本来野地板とは、長さ400~500mm程度で幅150mm程度の板で屋根の下地として使っていたものであり、2000年の現在では、地方では使用することはあるが、都市部の屋根屋はあまり使用しない、1800mmX910mmの大きな建築用合板を使うことが多く、野地板は近年は使用しない。しかし、規格としては厚さが問題であってその板の大きさは規定していない。その野地板は日本農林規格に定める構造用合板で,厚さが 9 mm 以上又はこれと同等以上の耐力をもつものと規定している、一般にはコンパネと言っています。そしてこのコンパネ、野地板に屋根用スレートをくぎ,ねじなどで止めることができるものをいう・・・と規定しています。

そして、スレート屋根に使用するスレート材の品質についても規定があります。

外観屋根用スレートの外観は、割れ及び基板の亀裂あってはならない。欠け,ねじれ,異物の混入,表面の亀裂及び剝離、使用上有害なものであってはならない。性能としては、曲げ強度、荷重、吸水率、反り、透水性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐候性、耐凍結、融解性、難燃性、発熱性についても規定が定められています。これらの規定は、スレート材料の強度に対する規定であって、簡単に割れたり、ヒビがあってはだめと言っています。

スレート屋根の利点:

JIS正式名称;住宅屋根用化粧石綿スレートを使ったスレート屋根の利点は、1970年当時は、屋根材として瓦葺、板葺、萱葺、藁葺、セメント瓦葺、などメンテに費用がかかったり、耐用年数が短かったりと丈夫で耐用年数の長い屋根材が求められていました。特に日本瓦は耐用年数が60年以上もあり、1000年経過した神社、仏閣もあり、大変長期の寿命があるのですが、施工費用が高い、メンテに費用がかかる、下葺き材の寿命によって葺き直しをしなければならない、その費用は瓦の全葺き替えとあまり変らない、特に瓦の重量により、構造を堅牢し設計しなければならないので建築費用がかさむことが建設会社の頭痛のたねだったと思います。特に高度成長期において大量に木造家屋を供給しなければならない建築会社は、瓦職人を確保することに苦労したと思われます、もっと簡便で、軽く、施工期間が短く、安い屋根材が求められた時代だったのです。そこへスレート屋根が登場したのは、もっけの幸いだったのです。重厚長大から短小薄軽に時代だったのです。瓦より軽く、価格も安い、工期も短い、職人も確保し易い、萱葺、藁葺より施工が簡単で耐用年数も長い(と思われていた?)材料も工場で大量生産され、材料費も低減できます。屋根が軽いとそれを支える柱、梁、家の構造材料の価格を安く抑えることがっできる。よって木造住宅を安く大量に供給できると大変良く使われました。建売の家ではその品質より価格や間取り、先進的な設備;台所、トイレ、家電などの志向があり、施主は屋根の材料、耐用年数などはあまり気を付けない時代だったのです。でもはやりスレート屋根の果たした役割は小さくありませんでした。高度成長期にマイホームを持つとい夢が実現できた人が増えたのです。いろいろ問題はありましたが、少しでも安く住宅を大量に供給しなければならなかった時代の要求を満たさなければならなかったのです。

ではスレート屋根の葺き替えはどの方法がベストか?

いろいろ問題、と言っても直ぐに雨漏りが発生する、割れ欠け、ヒビが発生している、苔、カビがひどい、などなどの問題は、実は雨漏りに直結しません。そこは日本の建築技術、ルーフィングの優秀さがあると思います。良くない、儲け主義の建築会社、訪問販売会社、リフォームの専門会社、屋根屋は、20年以上の屋根が苔、カビ、ヒビ、欠け、割れなどを見つけると、雨漏りがすぐに発生して大変なことになる、直ぐに葺き替えを進めてきますが、そんなことはめったに発生しません。たとえスレート屋根のスレート材にヒビや割れ、欠けがあっても直ちに雨漏りの心配はないと思われます。今まで雨漏りが無かったのですから、すぐに雨漏りにはなりません。問題はルーフィング、防水材でこれが問題なければ雨漏りにはならないのです。このルーフィングの耐用年数は20年前のものでも20年以上あり、耐用年数とは20年ですぐにだめになるのではなく、おおよそ20年で30年もつ場合も多く見られます。交換の目安であって、絶対的な物差しにはないのです。それをルーフィングの状態も言わず、スレート屋根の表面だけを見て、葺き替えを進める商法は違法ではありませんが、あまり褒められたものではありません。ひどい営業になると、なかば脅しとも言えるセールストークをします。屋根の葺き替えは一生の内、一回か二回程度の大事業です。簡単に営業の口車に乗って貴重な貯金を無駄に使わないようにしたいものです。

でもし、築年数が20年を超えて、スレート屋根の傷みが想像より劣化している、とか実際に雨漏りが発生して、葺き替えたいという意思があれば、どんなスレート屋根の葺き替え工法があるのか?あまりお客様はご存知ないのが現状と思います。スレート屋根のスレートを全部撤去して、下地材も突破っらってから工事をしなければならないと思っているお客様も多いです。しかし実際はもっとコストをセーブして、綺麗な屋根葺き替え工事をする方法があります。築20年~30年で雨漏りの経験がないのでしたら、下地はそれほど劣化していませんので、下地、これを交換するとなると、30万円~40万円程度かかるので、この下地をそのまま使用すれば、かなりの費用が節約できます。ですから、スレート屋根の上にルーフィング、防水材を施工して、軽い金属、今はガルバリウム鋼板や自然石粒付鋼板、ジンカリウム鋼板などがお薦めですが、これらの軽い金属材料をその上から施工すれば家の荷重に対する負担はかなり軽微で済みます。ガルバリウム鋼板は、平米あたり5Kg程度ですので、100平米で500Kgです。この程度の荷重なら全く問題にならない重量です。ですから、軽量な金属屋根材でのスレート屋根のカバー工法は今、一番の有利な屋根葺き替えの工法になっています。